奈良の魅力 5選

突然ですが、日本のいわゆる“古都”というと、どこを思い浮かべるでしょう。
おそらく、京都、奈良、鎌倉あたりで、人によって金沢なども入ってくるかもしれません。
ではこの中で「奈良」というと何を思い浮かべるでしょうか。
大半の人は東大寺、大仏、鹿などで、
ちょっと知っている人で、春日大社、石舞台古墳、室生寺、長谷寺あたりかと思います。
関西圏の人は遠足で、奈良の大仏や正倉院へ一度は訪れますし、
学生は歴史の授業で藤原京や平城京など、奈良が舞台の多くの出来事を学びます。

なのに奈良はあまりにもその「いち部分」しか知られていません。
なぜでしょう。
今回は「奈良好き」の僕が思う奈良の魅力をかいつまんで5つ挙げてみたいと思います。
※歴史好きのパパ的目線です。

奈良の魅力5選

①人が少ない
②自然が豊かで美しい
③歴史が深い
④魅力的な神社仏閣
⑤案外食事に困らない

 

①人が少ない
奈良市街、細かく言うと近鉄奈良駅~興福寺~東大寺~春日大社近辺までは
観光客も多く、人が多いです。
しかし、東大寺だけみてもその裏の「二月堂」まで足を延ばすと、とたんに
さっきまでの喧騒は無くなります。
京都のように、広い範囲で人手(主に観光客)が多いという訳ではありません。
要は奈良市街の一部分だけに人が集中し、他地域では一気に観光客も減少するのです。

理由は、寺社仏閣であれ観光地であれ、奈良の広い範囲に点在しており、
そのアクセスが、車でも電車でも悪いということが考えられます。
これは奈良県にとっては問題ですが、「普段から気軽に訪問する者」にとっては
歓迎すべきことです。

子どもを連れて遊びに行く場合、
京都のように洗練された水族館や動物園や博物館などは確かにありませんが、
無料の宇陀アニマルパーク橿原昆虫館橿原市立こども科学館
勾玉づくりや鋳造体験が出来る国営飛鳥公園館
絶景のロケーションの中楽しめる生駒山上遊園地
室内プールが楽しめる奈良健康ランド
先日ブログでもレポートした冒険の森
他にも各種公園やキャンプ場・アウトドアスポットなど、遊び場は枚挙に暇がありません。
昨今のアウトドア~キャンプブームや、特にコロナ過の煽りも受け、
オートキャンプ場やグランピング施設はかなり盛況のようですが、
それ以外で「人が多くて嫌になる」と感じた事はほとんどありません。

②自然が豊かで美しい

奈良は、奈良盆地以外は殆ど山と言っても過言ではないくらい、山地面積の広い県です。
僕はいつも奈良へ行くとき、大阪と奈良を隔てる金剛山・葛城山の間を通る「水越峠」を越え
奈良へ入るのですが、毎回その峠を越えると眼下に見える奈良盆地と、その向こうに見える
吉野~高見山などの山脈群に見とれてしまいます。
大げさですが、何か「隠れ国」に来たような想いがするのです。
また、それこそほんとの隠れ里的な十津川村大峰山脈などの、秘境とも呼べる大自然。

盆地に目を移すと、明日香村の稲渕の棚田をはじめとした、日本の原風景的な里山が
随所にあります。

そして葛城古道山の辺の道柳生街道などの、古くから人により連綿と踏みしめられてきた
長い歴史を持つ、美しい古道。
1,000年以上もの間、その景観に大きな変化はないのであろうと感じさせる、
「悠久の景色」とも呼べそうな場所が、奈良には多くあります。

そういった景観を人は愛情をこめて「大和路」と呼びますが、その大和路に魅せられた
入江泰吉をはじめ、多くのプロアマ含めた写真家が存在するのも深く納得できます。

高鴨神社から仰ぎ見る、金剛・葛城山地は目を見張る程美しいです。

 

③歴史が深い

僕にとって奈良の一番の魅力はこれです。
深いどころ騒ぎではありません。

歴史好き、特に古代史好きには、奈良は必須であるのは言うまでもありません。
何しろ日本という国の始まりであり、その立国前夜から奈良は重要な地であったわけで、
築造推定年が3世紀後半と見られている箸墓古墳だけ見ても、その歴史は1,800年前に及びます。

もっと言うと、初代天皇である神武天皇~第十代崇神天皇までの間の、その存在が疑問視されている
いわゆる欠史八代の第二代綏靖天皇の葛城高丘宮跡の“碑”があったりします。
史実はひとまずどうあれ、日本書紀や古事記に書かれているような、神話時代の出来事、
あるいは舞台が、何かしら奈良で実際に「あった」ことだけは、考古学上の成果をみても
確実だと言えます。
つまり「推定年代」として見るだけでなく、実際に2,000年くらいも前の歴史が
奈良には残されていると言えるのです。
そんな場所は他になかなかないです。(高千穂や出雲、諏訪などはありますが)

またその歴史を実際に見て感じることが出来るのも素晴らしい点です。
有名な正倉院展はもちろん、大神神社玉置神社などは“現存する古代史の証”と言えるほど
歴史は古いですし、そこまでいかなくても法隆寺の涅槃像や、飛鳥寺の飛鳥大仏などは、
仏教伝来まもなくの頃で、まだ日本独自の仏教美術が成立する前(平安時代以前)なので、
像のお顔がペルシャなどの西欧~中東など、明らかな「シルクロード」の匂いを
感じることが出来きます。
「自分が今見ているものは1,000年以上前に作られた物だ」と思うと、
ロマンを感じずにはいられません。

そんな場所やモノが奈良にはたくさんあります。

④魅力的な神社仏閣

③でも少し述べましたし、歴史と通底していますが、
魅力的な神社仏閣が多くあるのも奈良の魅力の大きな要素です。
有名な所で言うと、
・中臣鎌足以降の氏神である春日大社
・こちらも藤原不比等が建立し、明治の廃仏毀釈では潰されそうになった興福寺
・大物主を祀る日本最古の神社の1つである大神神社
・禁則地から伝承通り神宝が出土した、物部氏の神社石上神宮
・国宝の金堂や本堂、五重塔を有する美しい山岳寺院室生寺
・真言宗豊山派の総本山で、その舞台や登廊など建築も美しい長谷寺
・崇神天皇創建との言い伝えのある、2,000年以上の歴史を持つ玉置神社
・中臣鎌足を祀り、紅葉が美しい談山神社
・日本独自の宗教である修験道、金峯山修験本宗の大本山金峯山寺
・鑑真が晩年を過ごした、国宝の金堂はじめ落ち着いた雰囲気を持つ唐招提寺
・古の西安にタイムトリップしたかのような薬師寺
・日本一の大仏を有するだけでなく、仏教の総合大学的見方も出来る東大寺

その他にも当麻寺宝山寺天川大弁財天社岡寺など、挙げればきりがありませんが、
素晴らしい建築物や仏像、美しいロケーションや心休まるような雰囲気を持つ
寺社仏閣が数多くあります。

②でも述べたように奈良は山岳面積が広く、その多くで修験道や仏教、
日本古来の自然崇拝である古神道などと結びついた結果、山間に多くの寺院や神社が存在します。
それらに訪れると、「自然に対する人間の想い」や「自然と人間の関係性」を
前向きに捉えられることができ、非常に清々しい気持ちになります。

各地のアクセスは悪いですが、是非一度2~3周ってみていただきたいです。


※僕は訪れた先で御朱印を頂くのも寺社仏閣巡りの1つの楽しみで、
奈良だけで御朱印帳ほぼ1冊終わりました。

⑤案外食事に困らない

こちらは“おまけ”に近いのですが、レジャー目的で奈良に訪れた際、
山間部から抜け、ある程度大きな国道まで出るとかなりの飲食店があり、
食事に困るということはあまりありません。
逆に言うと、それほど道が多くなく、主要国道が限られている、ということなのですが、
案外ラーメンの激戦区だったり、手作り感あふれるお洒落なカフェやパン屋さんなど、
ある程度下調べは必要ですが、結構多いです。

また、奈良の特産品として柿の葉寿司や奈良漬け、三輪そうめんなどがありますが、
実はかなりの「酒蔵」があり、特に日本酒好きだと毎週のように奈良へ訪れても
飽き足らない程楽しめる地でもあります。
やはり神社仏閣が多いので「お神酒」としての需要と、重畳たる山々から流れ出る
清らかな水がある、という条件が、蔵元を多く有した理由だと思います。

 

まとめ

奈良の魅力は正直まだまだあります。
が、語れば語る程マニアックになってくるので、この辺にしたいと思います。
しかし、「奈良」をベースに目的に応じての検索をしてみると、
案外色々と興味深い場所が奈良でヒットするはずです。

歴史・寺社仏閣好き“以外”の人でも、人それぞれの「意外な奈良」を発見し、
そこから奈良の魅力にハマっていくかもしれません。

是非、僕と想いを同じくする人が出来れば嬉しいです。