『ワンオペ夫婦』の溝の埋め方

ワンオペ=ワンオペレーション 1人作業という意味で、今回の「夫婦」
というテーマの場合、家事や育児などを夫婦どちらか一方だけが行い、
また、もう一方は関与しない(してくれない)という意味です。

「夫婦間」でどちらかがワンオペ状態になるということが多いようです。
僕自身ワンオペとまではいきませんが、似た状況から精神的に参った経験もあります。

実体験も踏まえながら乗り越え方を書いてみたいと思います。

知り合い夫婦の例

先日、ある新聞社の知り合いとお茶をしていました。
彼は営業で、新聞社勤めの慣習として東京(家は埼玉)から大阪へ
単身赴任の身です。

彼は結婚しており幼稚園と小学校低学年の子どもがおり、
子どもと奥さんを残しての単身赴任です。

彼が言いました。
「最近妻がワンオペに疲れた限界だと言って、転職してくれとかヒステリーを起こしたり
暴言を吐いてきたり、つらく当たってくるんです。」

奥さんの気持ちはよく分かります。
幼稚園児や小学校低学年の「最も手も目も離せない時期」の子どもをかかえ、
1人で面倒を見て家の事をし、自分も仕事をしているとなればそりゃ大変です。

しかし僕は「物理的な大変さもあるが、それより精神的な面じゃないか」
と思ったのです。
今日あった出来事、または何かあった場合声をかけられる、話せる人が居ない。
育児や家事などの物理的苦労よりも、それらの苦労を含めた「日常」を
共有するべき相手が傍に居ない。居てるのに居ないという現実。

それが1番辛いんじゃないかな?と彼に言うと、「妻も同じことを言っていた」と。
彼は今まで「仕事だからしょうがない」「それを分かった上で結婚したはず」
という考えから、そこまで深刻には捉えていなかったようですが、
奥さんに気持ちをぶつけられ、気付いたようです。

その後彼は、毎週末埼玉の自宅へ帰っていて、奥さんの状況もだいぶ落ち着いてきた
ようです。
毎週末大阪から埼玉に帰るのは大変です。
それでも何も言わずに自らの意思で帰ってきてくれる夫の「気持ち」が、
行動を通して奥さんに精神的な安心感を与えたのだと思います。

僕の場合

僕の場合ワンオペではありませんが、そのように感じしんどい思いをした経験が
2回ありました。

【1度目】
結婚当初、妻はアパレルの販売員をしており、休日はカレンダー通りではありませんでした。
長男を出産~仕事復帰後も勤務体系は同じで、土日も仕事の場合もありました。

長男が1歳に満たない状況で、土日の日中僕1人で見ていましたが、
とにかくよく泣くんです。
赤ん坊の泣き声というのは「何かを訴える為」なので、大人からすると
ほっとけない気持ちになります。
でも何が原因で泣いているか分かりません。
オムツでもなく、ミルクでもなくひたすら延々と泣いています。
それを必死であやす週末が続いていたある土曜の昼過ぎ、
焦りとイライラが限界にきて「もう嫌や!どうしたらいいんや!勘弁してくれ!」と、
抱いていた長男をベッドに放り投げてしまいました。

ハッ!としました。長男はベッドでまだ泣いています。
「俺はなんてことをしたんや・・ごめん・・!」と、自分のした事と長男の事を考え、
涙があふれてきました。
同時に、シングルマザーなどによる育児ノイローゼから子供を殺してしまったなどの
世間のニュースが頭をよぎりました。
もちろん殺害などはどんな事があってもあり得ない、許される事ではありません。
でも、「そうなってしまうくらい追いつめられる」という気持ちは、
少し理解できます。

その後僕は自分のとった行動から、目が覚めた気持ちになり、
泣く長男を抱っこして近所の公園に出かけました。
冬の寒い日でした。外の冷たい風にあたって、長男はスッと泣き止み、
キャッキャと嬉しそうにしています。
(そういうことやってんな。ごめんな、未熟なパパで・・)と思った事を覚えています。

その後、仕事から帰ってきた妻にその話をすると、
「ごめんね、私もkenに甘えてしまってた。土日どちらか休めるように努力する」
その一言でどれほど気持ちが楽になったか。

【2度目】
2度目はこのブログを始めたきっかけとも言える、「妻が看護師」になってから、
夜勤に入り始めた頃です。

子どもが大きくなったとは言え、ご飯を自分達で作れるわけではありません。
妻が夜勤入りの日は、仕事を早く切り上げ、買い物をし、夕飯の支度~家事をこなす
という生活が始まって、しばらくたった頃です。

「俺と同じような立場の世の男性は、皆こんな大変な事してるのか?」と思いました。
また平日に限らず、土日に“入り明け”などで妻が居ない日なども、
慣れないせいかかなり寂しく、「シングルファーザーはこんななのかな・・」と思ったり
「自分と子ども達だけが取り残された」ように感じたりしたものです(←大げさですが)

妻の大病もあり、そんなこと言ってる場合じゃない状況もありましたが、
昔の経験もあり全体を通じて妻とのコミュニケーションを密にとり、
「どんな些細な事でも話したいと思ったら話す」という夫婦間の姿勢から、
いつの間にか僕自身の「ワンオペ的辛さ」は無くなっていきました。

お互いが相手の気持ちを常に汲み、声をかけ、聞く耳を持つ、という事をしていたら、
気持ちはとても安定するもんだな、と実感しています。

まとめ

相手の立場になってモノを考え、気持ちに寄り添うと、
「相手からの話を聞く」のが、自分から「今日どんなことがあったのか聞かせて?」
に変わります。
最初は相手を気遣ってでもいいんです。
そのうち、自分から知りたい、自分から関与したい、に変わっていければ、
例え物理的状況では「ワンオペ」でも、気持ちが全然違います。

しんどい時は無理せず相手に伝える事、伝えられた方はその気持ちを汲み、
相手に寄り添う気持ちを伝えた上で行動する、ということが
夫婦がお互いの辛い状況を一緒に乗り越えられる最善の方法だと思います。