小さな命~昆虫たち~

2021年8月18日

僕は小さな時から今でも昆虫が好きです。
この時期、家族でちょっと田舎の公園などに行きクヌギ林などを見つけると
チェックせずにいられませんし、秋だとバッタ、カマキリがいないかと
家族そっちのけで草原に飛び込んでしまいます。

成虫は見るが幼虫は見ないセミ

都会に住んでいる方は特に、セミの成虫は街路樹でもよく見かけるでしょうが、
幼虫は見た事ないのではないでしょうか?

「抜け殻」はそこらじゅうで見かけますが、それが歩いている姿は
あまり見かけません。

僕が住んでいる地域は郊外の緑の多いニュータウンなので、
この時期、夜に愛犬の散歩をしていると、緑道(遊歩道)を横切る
セミの幼虫によく出くわします。

※固い地面から出てくるだけあって、前足の力は非常に強いです

自転車や人に踏まれるといけないので、その都度拾い上げて
木につけて避難させるのですが、犬の散歩中1人だと結構大変です。

しかし5年程も土の中にいて、やっと地上に出たと思ったら2週間ほどの命、
そんなセミが尊く感じてきて、ほっとけないです。

昆虫の魅力

セミだけではありません。
他の昆虫にしても、その不思議な造形と生態、それぞれに濃い個性をもった
小さな命に興味が尽きません。

僕が昆虫に興味を持った元々の原因は父でした。
父も幼いころ虫取りに夢中になった少年だったようで、
僕が生まれ、自分も童心にかえり僕と一緒に虫取りをしていた、
という訳です。血は争えませんな。

僕は子どもの頃、夏はカブトムシやクワガタムシなどの甲虫、
秋はバッタ(特にトノサマバッタ)やカマキリ、キリギリス
などが最も好きだったのですが、それまでは単純に昆虫の「大きさ」や「強さ」
に魅かれていたと思います。

それが変わるきっかけとなった1冊の本に出会います。

興味の視野が広がったきっかけとなった本

その本は、昆虫写真家・切絵作家の今森光彦氏の『昆虫記』です。

この写真と文章で構成された写真集は、氏が1976年から10年近くに渡って琵琶湖周辺で撮影してきた
取材録とも言える本です。

この本の何が素晴らしいかというと、
・単純な種属別の昆虫図鑑とは180度違う
・テーマ別(昆虫の「変わった顔」、ふ化の様子、フィールド毎にどんな昆虫がいるか、
変わった生態の紹介etc.)に昆虫を紹介し、その特徴や生態まで深堀して知ることが出来る。
・春夏秋冬という四季、または自然全体も紹介しながら昆虫を見ることにより、
昆虫と自然の生態系の関係を知ることが出来る。
・琵琶湖は北部が日本海側気候、南部が瀬戸内海式気候であり、その特徴的な気候風土が織りなす
美しい自然環境をも紹介している。

他にももっとありますが、子どもの頃この本を手にしてすでに感じていた魅力は
上記です。

この本は僕が小学校2~3年生の頃、祖母に買ってもらい、今でも大事に持っています。
この本に出会った事がきっかけで、「自然」「昆虫」と分けずに、全て1つのものであると捉え、
全ての要素が密接に関係しているんだという事を知りました。

また、「里山」の重要性やその風景などに魅力を感じ、子どもながら
強烈な“郷愁の念”のようなものを感じた事を覚えています。

この本は今でも僕の「自然観」の元であり、バイブルです。
是非手の取って見てほしいです。

まとめ

子どもの頃、昆虫やザリガニ、ヤドカリ、カナヘビなどの小さな生き物を飼っては
死なせました。男なら特に経験あるのではないでしょうか。
そして今、自分の子どもがそうしていると「かわいそうだ」「ちゃんと世話しなさい」
と口酸っぱく苦言を呈して、結局自分が世話したりしています。

子どもだからしょうがないかもしれません。
でもしょうがないで終わらせずに、それを良いきっかけとして、
「命」を知り、「自然」を知り、また自分達もその自然の一部でありその中で生かされている
という事を少しでも教えていければ良いなと思っています。

昆虫が好きなら、その昆虫に宿っている「小さな命」を愛でる、
それが本当の昆虫好きです。