広告代理店の営業という仕事

職種として「代理業」と言えば、旅行や保険、不動産などありますが、
「広告」もそのうちの1つです。

僕は大阪の小さな広告代理店で営業の仕事を
かれこれ15年しています。
今日は「広告代理店」と「広告」や「メディア」について少し書いてみたいと思います。

広告代理店って何するの?

広告代理店とは何をするのかザックリ説明すると、
「広告を出したい企業」へ目的に合ったメディアを提案し、
実際に広告が出るまでのお手伝いをする、というものです。

広告を出したいのは企業ではなく、店舗や自治体や個人の場合も
あります。(うちでは基本、個人とは仕事しません。)
メディアも新聞や雑誌などの紙媒体からテレビやラジオなどの電波、
屋外看板や交通広告、もちろんインターネットもあります。
「お手伝い」も、各種メディアの中から最適な媒体の選択~提案から、
広告原稿の作成、広告枠の調整、料金他媒体との折衝、紙なら掲載紙の手配~発送まで
およそ「広告を出す」のに必要な全てのプロセスに裏方として携わります。

広告代理店としての基本的な仕事内容は上記でどこも同じです。

僕の所属する会社は「総合広告代理店」なので、エロとギャンブル以外は
基本なんでも扱うのですが、代理店によって「何が強い、弱い」という“差”があり、
それぞれが自分とこの強みを打ち出し、他店との差別化を図っています。

広告代理店って必要なの?

極論を言えば「必須ではないけどいたら便利」という存在です。
どの業界の「代理業」でも同じかともいますが、
必須じゃないのに存在している理由があります。

広告の場合、「業界としての暗黙のルール」があり、それが1番の理由です。
例えば「大手出版社や大新聞社は容易に口座開設(新規取引)しない」というのがあります。
広告を出したい会社が「初めてで広告を出したいのですが」といっても、
“一見さんお断り”で、懇意の代理店を紹介し「代理店経由で話してください」となります。

なぜか。
「手間とトラブル(リスク)が多い」からです。
■手間
ネットなどない昔は、広告の原稿作成も今のようにデジタルではなく、
「版下」といって、広告原稿の中身を文字通り切り貼りして「手」で作る
アナログな手作業です。そんな作業を広告代理店もやってました。
また、先述の様なプロセスの中で、細かな折衝が生まれてきます。
出版プロセスだけでも大変な中、出版社や新聞社が自社でそこまで
請け負えない、という所から代理店への需要が生まれました。

■トラブル(リスク)
例えばこれは今でもそうですが、雑誌に広告を載せようと思ったら、
広告原稿の入稿は、発行日の1ヶ月前です。
昔の手作業時代はもっと前に入稿しなくてはなりませんでした。
ここにあるリスクが生じます。
広告枠を受注し、枠も押さえ、入稿も済みあとは発行を待つだけ、
でいざ発行されたもののクライアントは雲隠れで広告料は未回収、
という可能性があります。
じゃあ前金にしたら、と思うかもですが、昔は企業間の支払い方として
「手形決済」など普通でしたので、前金条件などにすると広告入りません。
その「未回収」や「後払い」のリスクを出版社や新聞社は代理店に負ってもらい、
その代わり代理店との「信用関係」の中で、広告の空き枠や値引きなど
お得な情報を伝えたりして、持ちつ持たれつの関係性を築いてきた、と言えます。

近年の「広告」と「メディア」の変遷

僕が広告の仕事をし出したのが15年前の2006年。
iPhone発売が2007年、Androidが2008年なので、もちろん入社時は
今でいう「ガラケー」でした。

記憶が定かではありませんが、僕が初めてスマホでiPhoneを持ったのが、
おそらく2009~2010年あたりだと思います。

そこから全世代への普及にはある程度時間がかかったとは思いますが、
2010年代後半には、多くの人々・世の中にとってスマホは「無くてはならないモノ」
という存在になったと思います。

パソコンとスマホが世の中を大きく変え、その影響は「広告」と「メディア」へも
限りなく大きかった事は言うまでもありません。

情報伝達スピードは人類の有史以来最速となり、新聞や雑誌などの紙媒体は特に
「アナログ媒体」として“古いもの”という認識が当初広まりました。
しかし、最近ではネットに溢れかえる有象無象の情報価値が見直される反面、
紙媒体の、筋の通ったコンセプトのもと人によるキチンとした取材でもって作られるメディア
という価値が改めて評価されてきています。
安易なネット情報は真偽も定かでなく価値がない、という事です。
WEB広告でも“売る意味”を説く「コンテンツ連動広告」が重要視されてきているのは、
その表れです。

これらは「便利さの反動」と言えると感じています。
昨今のアナログ回帰やキャンプ・アウトドアブームも同じ脈で捉えることが出来る
結果だと思います。

また、スマホの機能向上と普及により、「個人がメディアになりうる」という
究極の所まで来ました。
YouTubeやSNSやブログより、瞬時に個人から情報発信が可能になり、新たなメディアとしての
立ち位置を確立させました。

以上の様な状況から、広告主はメディア選定で選択肢が多すぎ、
「紙がいいのネットがいいのか」「ネットでも何がいいのか」と分かるはずがありません。
このような場合、メディアのプロである広告代理店に頼る、という事になり、
それも世の中に広告代理店がなくならない理由の1つと言えるでしょう。

まとめ

メディアのプロと言っても、言うからには最新のメディア情報から
流行、紙も含めおよそ「メディア」に関連するありとあらゆる事を
知っておかなければなりません。

しかし最近は特に流行の流行り廃りや、世の中の移り変わり自体が
非常に早いです。
「ついていかれへんわ・・」としんどく思う事もあります。しょっちゅう。

そんな気持ちから「じゃ俺がメディアになろう」と思って
このブログをはじめました(というのはウソです。)

でも実際やってみないと分からないですもんね。